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2024/11/5

2024年7月16日開催「規制改革に関する日英意見交換会」レポート

    2024年7月16日(火)に「規制改革に関する日英意見交換会」を開催し、プロトタイプ政策研究所からは所長落合孝文、メンバーの稲谷龍彦、羽深宏樹が登壇しました。

     本ワークショップでは、英国Regulatory Horizons Councilの議長であるOxford大学教授Christopher Hodges氏を筆頭に、英国及びカナダから最先端のデジタル規制に関する専門家を招くと共に、日本の専門家にもお集まりいただき、デジタル規制改革、規制のサンドボックス、デジタルプラットフォーム規制、AIガバナンス、自動運転車のリスクマネジメント、DFFT(Data Free Flow with Trust)など、デジタル技術の進展がもたらす具体的な規制の課題について議論を行いました。


     本意見交換会では、規制改革に関する深い知見を有する日英の有識者によって、規制改革の枠組み、方法論、実践における課題等に関する活発な議論が行われました。主な内容は以下のとおりです。

    1.REGULATION:Evolution in Models and Practice/Outcome-Based Collaboration(Oxford大学名誉教授 Christopher Hodges氏)

     まず初めに、Oxford大学名誉教授であるChristopher Hodges氏より、掲題のプレゼンテーションが行われました。プレゼンテーションにおいては、冒頭、Hodges氏が議長を務めるRegulatory Horizons Council(RHC)の活動と実績の紹介がなされました。RHCは、イノベーティブな科学技術の迅速かつ安全な導入に必要な規制改革について、英国政府に助言を行う独立した諮問機関です。RHCは、当該技術に関連する規制状況を俯瞰的に考察し、関連するステイクホルダーとの議論を通じて、英国が技術革新より恩恵を最大化するための規制改革の在り方を模索しています。RHCが過去に助言を提供した事例としては、例えば、核融合エネルギー、医療機器、医療機器におけるAI、ドローン、量子技術、ニューロテックに関するものがあるとのことでした。

     次に、Hodges氏からは規制の在り方に関する古典的なエンフォースメントと抑止力を用いた法的規制モデルと行動科学に基づくモデルの概要及び特性が実例と共に紹介され、その中でも同氏は行動科学から派生したoutcome-based collaborative regulation (OBCR)というモデルが最も優れていると考えていると結論付けました。このOBCRというモデルは、全てのステイクホルダーを巻き込み、同意された共通の目的・成果に向かって信頼を基礎として協働するという枠組みの下であるべき規制を形作るというもので、実践のためのツールとしてはステイクホルダー間の協議会の設置、行動準則の策定、成果とパフォーマンスのモニタリングが挙げられるとのことです。Hodges氏によれば、このOBCRモデルは航空業界における安全確保に関する規制、広告基準・食品安全基準等の策定において実践されているとのことでした。

    2.OBCR:Status and Learnings from Ongoing Initiatives(Public Risk Management (PRISM) Institute Founder/President Srikanth Mangalam氏)

     次に、Public Risk Management (PRISM) InstituteのFounderかつPresidentのSrikanth Mangalam氏より、OBCR:Status and Learnings from Ongoing Initiativesと題するプレゼンテーションが行われました。プレゼンテーションでは、Hodges氏のプレゼンテーションにおいて紹介されたOBCRモデルの具体的な実践方法を7つのSTEPに整理したもの、及びHodges氏とMangalam氏が実際に関与したOBCRモデルの実践例について紹介されました。

    3.サンドボックス制度について(内閣官房審議官 中原裕彦氏)

     続けて、内閣官房審議官の中原氏より、同氏がその創設と運営に深く関わっている規制のサンドボックス制度に関するプレゼンテーションが行われました。規制のサンドボックス制度とは、新技術・新たなビジネスモデルを活用したビジネスの実践を希望しながらも、既存の規制がそのような新技術等を想定して設計されていないという、規制と技術革新のギャップに対応するために創設された制度であり、そうした新技術やビジネスモデルの社会実装に向け、事業者の申請に基づき、規制官庁の認定を受けた実証を行い、実証により得られた情報やデータを用いて規制の見直しに繋げていく制度です。中原氏によれば、これまでに、Fintechとブロックチェーン技術を掛け合わせたサービス(Crypto Garage社)、Fintechとプライバシー保護技術を掛け合わせたサービス(Caulis社・関西電力)など100件以上の制度活用実績があるとのことです。

    4.Operationalization of DFFT (デジタル庁企画官 目黒麻生子氏)

     次に、デジタル庁企画官の目黒氏より、同氏が関与する国際的なデータガバナンスに関連する取組みについてプレゼンテーションが行われました。目黒氏は、G20大阪サミットにおけるデータの国際的移転を促進するための国際的協調において「信頼」がその中核に置かれるべきとするData Free Flaw with Trust(DFFT)のコンセプトの採択、国際的なデータガバナンスを促進するための具体的なメカニズムの策定と実践に関わり、同氏のプレゼンにおいては多様なステイクホルダーの意見を集約し国際的な合意に反映させるための制度設計の工夫等の取組みが紹介されました。

    5.Digitalization of Regulation in Japan(渥美坂井法律事務所・プロトタイプ政策研究所所長 落合孝文氏)

     次に、渥美坂井法律事務所・プロトタイプ政策研究所所長である落合氏から、Digitalization of Regulation in Japanと題するプレゼンテーションが行われました。その中では、落合氏自身が有識者・委員等として関与したデジタル技術を活用した規制改革の取組みの実践例(Fintech、自動運転技術等)、アジャイルガバナンス等の規制改革に関する重要なコンセプトと方法論、国家戦略特区等の規制改革ツール、スタートアップ支援制度といった広範なトピックについて紹介されました。

    6.The Proposals from the SWG on the Legal Framework for ADS(京都大学法学研究科教授 稲谷龍彦氏)

     最後に、京都大学教授の稲谷氏からアジャイルガバナンスというコンセプトとその実践例としての自動運転技術関連の制度設計について簡潔なプレゼンテーションが行われました。その中で、稲谷氏は日本におけるアジャイルガバナンスの実践のためにはエビデンスベースの議論を行うための素地づくりと各ステイクホルダーに適切なインセンティブを与えるための制裁措置を含めた制度設計が重要になるとの提言を行いました。

    7.QA Session/Discussion

     以上の各参加者からのプレゼンテーションを踏まえ、活発な質疑応答及びディスカッションが行われました。その中で特にトピックとして挙げられたものは、以下のとおりです。

    (1)デジタル技術を用いた規制改革による効果及び成果の達成状況について

    (2)デジタル技術の規制に関する中央政府と地方政府の役割分担と効果的な導入手法について

    8.Closing Remarks

     本意見交換会の締めくくりとして、京都大学大学院法学研究科特任教授の羽深宏樹氏とSrikanth Mangalam氏からそれぞれ簡潔にClosing Remarksが述べられ、本意見交換会は閉会となりました。

    以上

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