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2023/9/25

立場を超えて政策を議論し提言できる組織がプロトタイプ政策研究所【小泉誠/プロトタイプ政策研究所メンバーインタビュー】

    プロトタイプ政策研究所創立メンバーの小泉誠さんにプロトタイプ政策研究所の立ち上げ秘話を伺いました。様々な立場を超えて社会課題に対して議論し、政策提言にまとめる研究所の意義や今度の展望を語っています。

    【小泉誠氏プロフィール】
    株式会社リクルートに入社後、Eコマース・アドテクノロジー・業務支援・キャッシュレス決済等、常に新領域で経営企画・事業開発・戦略設計を行い、20を超えるサービスを担当。同社Airレジの事業企画責任者を経たのち、経済産業省へ入省。商務情報政策局 情報経済課にて産業横断でのデジタル政策を担当し、AI戦略、決済・契約等のデジタル市場インフラ、モビリティ・スマートシティ、デジタルID等の政策を推進。人材育成では「AIQuest」を立案し、約2000名の育成を実施。現在は、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究所研究員や官民連携団体であるデジタルリテラシー協議会の運営、政府のデジタルスキル標準検討等、産学官を横断して活動している。

    社会構造の変わっていく先を誰よりも早く見たい、
    そしてその当事者でありたい

    ーはじめに自己紹介をお願いします。
     専門分野でいうと、大きくはデジタル、グリーン、人材育成、労働市場を扱うことが多いのですが、政策レベルでの戦略とビジネスディベロップメントの間に立ってスタートアップや企業のアドバイザー・顧問もしています。


     もともと世の中の基盤になるようなレベルのサービスとか事業にずっと関心があって、社会の構造を変えていくことと、社会が変わっていく中で自分は人間としてどう進化するか、考え方が変わるのかといったことに興味を持っています。自分も含めてみんなが変わっていくことに興味があるんです。そういった考えが昔からあって、リクルートや経産省で色々な領域を担当してきました。


     よくヒト・モノ・カネ・情報といいますが、近年デジタル化によって新たな社会基盤の議論がなされてきたのはモノとカネに関するものがほとんどです。私自身も経産省時代に金流と商流を一体化した新たなデジタル市場インフラが必要になるペーパーを書いたりしていたのですが、最後に残っていたフロンティアがヒトなんです。

     行政にせよ企業にせよ社会で何らか行われていることはすべてサービスだと思っていまして、そのサービスを作るときにやはりヒトのスキルが必要なんですね。結局のところ新しいことをやろうとすると、ヒトを育成し調達もしなければならない、となる。ほとんどのことはその実行フェーズで結局ヒトの問題に直面するんです。

     デジタル化していく時代においては、ヒトがどのようにマッチングしたり、そのヒトのスキルがどう流通するか、それが当然今までとは変わっていくはずと考えるようになって、それで今はヒトに関わる領域のデジタル化に関心を持って活動しているんです。

    ーすごい経歴ですね。成功話もたくさんありそうです。
     成功体験は思いつきません(笑)ただ、自慢できることとしては、基本的に何か「難しくない?」とか、「どうやったらいいかわかんないよね」ってみんなが言いがちなことをずっとやってきました。

     社会的な成功でトップランナーのようにはなったことはないんですけど、曖昧でどうやったらいいかわからないものを何とか形にしたり、少し先すぎて見えないものや複雑過ぎて見えにくいものを見えるようにしたり、辛すぎて皆が下を向いている組織に取り組んだり、そういうことは結構やってきたと思いますね。

     Eコマースやオンライン広告のときも、Airレジの時も経産省の時もそうでした。非常に複雑で抽象的で難易度の高いものをやってきたという意味で、自分の中で達成感はあります。ただ、正直一度も成功した気はなくて。どちらかというと失敗のほうが多いです。

    ー失敗の方が多いんですか?
     新しいことや方法が見えないものをやってきたのがほとんどなので、その途中は失敗しかないです。例えばリクルート時代に全社横断の広告事業部をゼロから立ち上げる時なんかは、当時の社長に「半年で100個失敗しろ」と言われて、毎週報告して失敗が少ないとか小さすぎると怒られたことがありました。失敗をたくさんしたことはよい経験になったと思います。失敗を積み重ねて修正していけば最後には成功しますし。

    ーキャリアを積み重ねてきた中で苦労したことはありますか?
     どのキャリアにおいても当てはまるのは、異なる職種やバックグラウンドを持つ仲間と同じ方向を向くまではいつも苦労しました。例えばあるサービスの時、私がまず収益化をしようするとエンジニアたちに猛反発されたんですよね。当時のエンジニアたちはユーザーにとっていいものを作ることが何よりも大事で、その積み重ねでサービスが世の中に広まるという考えだったんです。その通りではあるんですが、組織が継続していく上で収益を得ることもとても必要で、同じ方向を向くためのすり合わせの作業は大変でしたね。この作業ってめちゃくちゃつらいんですが、僕はそれが楽しいと思える性格でした。

    社会課題に対して、立場を超えて議論するープロトタイプ政策研究所の立ち上げ

    ー様々な活動をされてきた中で、プロトタイプ政策研究所に参加することになったきっかけは何だったのでしょうか?
     所長の落合先生と初めて会ったのはいつでしたっけね(笑)落合先生はいろんなところに出席しているから正しくはわからないんですけど…。今から5年前くらいの経産省時代に、3ヵ月間くらい毎週夜7時から2時間やっていた研究会があったんです。そこに落合先生に毎週来ていただいていてそこが一番の大きな出会いかと。

     その後、私が立ち上げた新たなデジタル市場インフラに関する検討会があって、すごく難しいテーマだったので官民横断的に集まってもらったんです。たぶんこれがプロトタイプ政策研究所の始まりにつながるんじゃないかな。そういった中で、このままで終わってしまうにはあまりに勿体ない気がして、継続してこのメンバーで何か提言を出したり、検討を続けたいよねという話に落合先生となったんです。

    ーどんな思いを持って参加されたのですか?
     そんな感じで落合先生と私の自主的なサークルのような勢いで始まったので、最初は何かを目指すというような目標はなかったんです。だけどそのメンバーが集まることができたら絶対何か面白くなるという自信がありました。その後、渥美坂井法律事務所で正式に組織として立ち上げていただくことになり、更に多くの有識者の方々にも入っていただき、今のように提言を発出したり現在掲げているような活動コンセプトも徐々に明確になってきて、様々な活動を行っている現在に至ります。

    ープロトタイプ政策研究所にはどんな存在意義がありますか?
     例えば何かインタビューがあったとして、研究会のメンバーは影響力がある人たちなので普段はそれぞれの組織の立場から発言せざるを得ないんですよね。だけど本当はもっとざっくりしたことだったりとか、仮説ベースで考えていることとかを立場関係なく議論して検討して世に問える場と機会が必要なんです。そういうものとしてプロトタイプ政策研究所はとても価値があると思います。名前の「プロトタイプ」というのも、そういう想いや意図を持って、初期メンバーで名付けました。

    絶対に面白いビジネスを

    ー最後に、今後の展望について教えてください。
     研究所としては、メンバーがリアルに集まるきっかけづくりをすることが重要かなと思っています。研究所のメンバーってみんな忙しいんですよ。だからなかなかリアルに集まれないんです。でも集まれば大きな化学反応が起きるので、集まるきっかけを作ることが意外と重要だと思っています。


     個人としては、一言では難しいんですけど、自社の新ビジネスを実現する経営目的のために一部のルールメイキングをするという順番ではなくて、最初から新産業のアーキテクチャを考えて、ルールメイキングと共にビジネスインできればいいなと思っています。自分も経営側の時は既存の自社ビジネスに都合の悪いことや、すぐ直結しないことはなかなか意思決定ができなかった。でも、それを離れたところから産業を考えると面白いビジネスが立ち上がるだろうなと思っています。これをどう実現性を持たせるかにすごく関心があって、またいずれそうなるという自信があります。

    (インタビュー/撮影:降籏捺妃)

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