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2024/1/26

柔軟に社会課題の議論ができる日本へ【クロサカタツヤ/プロトタイプ政策研究所メンバーインタビュー】

    通信・データ分野の専門家としてプロトタイプ政策研究所の設立当初から参加しているクロサカタツヤさん。政策提言を行う研究所はトライアンドエラーがもっとあっても良いと「プロトタイプ」の言葉を提案してくださいました。そんなクロサカさんに政策立案やプロトタイプ政策研究所に対する想いを伺います。

    【クロサカタツヤ プロフィール】
    1997年慶應義塾大学総合政策学部卒業、1999年同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。三菱総合研究所を経て、2008年株式会社 企(クワダテ)を設立。通信・放送セクターの経営戦略や事業開発などのコンサルティングを行うほか、総務省、経済産業省、OECD(経済協力開発機構)などの政府委員を務め、政策立案を支援。2016年からは慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授を兼務

    通信政策に携わるきっかけー通信への関心はアマチュア無線から

    ー自己紹介をお願いいたします
     株式会社 企の代表として、通信セクターや放送セクター、データビジネス等に取り組む企業向けに経営コンサルティングの仕事をしています。例えば通信キャリアに対して、「5Gの設備投資をこうしたらいいのではないか」、「CAPEX/OPEXを踏まえてどのような事業オプションがあり得るか」といった経営の助言などをしています。


     また、総務省、経済産業省、内閣官房デジタル市場競争本部等と連携して、政策立案や制度設計といわれるような仕事をしていたり、大学の教員として通信政策・AI政策について研究をしています。

    ー情報や通信分野には昔から興味があったんでしょうか。
     通信への関心は当然ありました。子供の頃からアマチュア無線の免許を持っていて、モールス信号で10Wでアルゼンチンまで無線を飛ばして通信するぞ、みたいなことに夢中になっていたんです。そんな感じで通信が面白いなと大学に入って、日本のインターネットの父といわれる村井純という師匠のもと、インターネットという当時の新しい手段を使って世界を作っていくことが面白いなと思っていろいろ遊びながら、研究としては公共経済学をやっていました。


     個人情報保護法やデータ戦略の仕事を明確にやるようになったのは、この15年ぐらいです。正直、情報法ってかなり難しいんですね。だから政府の委員会等でもいつも同じ面々になりがち。例えば、海外で大きな動き、ビッグテックが出てきたときに、日本政府としてどうするんだ、とか、制度はどうするんだ、みたいなことを手伝う余地やニーズは山ほどあるけれども、取り組む人が限られている。猫の手も借りたいというわけで、その猫の一匹として手伝い始めたというのが経緯ですね。

    ー幅広く活躍されていらっしゃいますが、今までの苦労した話があれば教えていただきたいです。
     基本的にコンサルティングという仕事は答えがないんです。なぜ答えがないかというと、我々にご相談くださるお客様が答えの前に、そもそも問いが見えてないケースも多い。

    着手してみたあとに「実は何が欲しいかわからない」とか、「実は何が問題なのかよくわからない」というご相談が少なくない。そこでも粘り強く議論していると、次第にやりたいこと、やるべきことが途中で見えてきて、そこからそのためには何をすべきか考えるということが我々の仕事の本当の始まりです。なので、当初の計画からだいぶ違うことをやらなければいけなくなることが、お客様にとっても我々もある。


     ただ、我々のようなところにご相談に来てくださるのは、きっと他に相談しようがなかったんだろうなと思いますし、もしかすると本当の価値を教えたりだとか、本当の真実にたどり着きたいという思いがお客様にあるんだとすると、そこにはちゃんと向き合いたいなと思っています。それは手間がかかりますが、このような仕事はなかなかないので楽しいです。

    ーもしよければ、お名前がカタカナの理由についても伺ってもよろしいでしょうか。
     気になりますよね(笑)法制度論的にいうと、「匿名化手法」の一つなんですよ。もちろん、漢字の名前を持っていますが、公文書や契約書に使っているこの漢字の名前を、世の中にオープンに流通させることは、いかがなものかと考えたことがありまして、匿名加工情報という個人情報保護法の中で選定されている仕組みの一つを使って「クロサカタツヤ」とカタカナにすることで、特定されることを避けています。これが理由の一つ…というのは冗談です(匿名化もそういうことではないですし)。


     一つの理由は、「黒坂」という名前が「黒澤」に間違われやすいんです。海外での仕事も多いのですが、「黒澤」が世界的に有名なので悔しいなと思って。会社を辞めて独立するタイミングで、区別しやすいようにカタカナにして流通させたらいいのではないかと思ったわけです。

    プロトタイプ政策研究所との出会い

    ープロトタイプ政策研究所に入られたきっかけは何だったのでしょうか。
     落合先生や今プロトタイプ研究政策研究所の面々とは以前からいろいろとご一緒したり、ご指導いただいたりすることが多かったんですね。そんな中で、自分たちにしかできないことがある、自分たちがやらないといけないことがあるということを、各々それなりに感じていたんだと思うんです。そういったことでプロトタイプ政策研究所が設立することになり、私も参画しました。


     研究所の名前をつける時に、政策はいきなり完成形を狙うのではなく、トライアンドエラーがもっとあってもいい、そんなやり方を提言していきたいという願いを込めて、「プロタイピングの大事さ」をメンバーの皆さんに伝えました。

    ープロトタイプ政策研究所の存在意義を教えてください。
     日本社会は、もっと柔軟に、もっとたくさん提案したり議論したりするべきだと思うんです。知識があるけれど立場的に発言できない人たちがいるわけですが、その人たちが言いたいことやりたいことを、話し合える場としての機能が果たせるといいなと思います。プロトタイプ政策研究所、とりわけ政策として扱っている領域でのミッションだろうとおもいます。プロトタイプ政策研究所はポテンシャルが猛烈にあるので、いかにコミットさせるかがこれからのテーマですね。

    世界中で社会課題の議論を

    ー今後の展望について教えてください。
     私たちがやっている事は、日本だけ考えてもしょうがない話が多いんですよ。インターネットとか通信政策の話をするときによく言う話ですけど、インターナショナルとグローバルって違うんですね。この違いを理解した上で、我々は今どの話をしているんだ、ということを考えなければいけない。実は、この違いを理解した上で話し合うことができるのは世界中どこ行っても同じ人であったりするので、そういう人たちと、世界中のいろんなところに行っていろんな議論をするっていうことが、今求められているんじゃないかなと思うんです。


     これは日本のローカルエリアも同じだと思います。東京でないどこかで我々はインターナショナルなのかグローバルなのか、何がどうなったら幸せになれるのか、ということをみんなで考えることをやっていきたいですね。

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