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2023/10/18

日本も民間から政策提言を!【宮田洋輔/プロトタイプ政策研究所メンバーインタビュー】

    「企業を含め、民間から政策提言するのが当たり前の社会になってほしい」と言うのはプロトタイプ政策研究所創立当初からの研究会メンバー宮田洋輔さん。ロビイングのコンサルティング会社の代表取締役も担う宮田さんが日本の政策提言の現状について語ります。

    【宮田洋輔氏プロフィール】
    経済産業省入省後、地方創生、働き方改革、観光需要政策、社会保障制度改革、原子力安全規制などの担当を経て、IT・デジタル政策を担当。データ利活用の普及促進や個人情報保護法改正などの政策立案を行う。その後、ヤフー株式会社にて、政策企画本部のマネージャとして、デジタル関連、シェアリングエコノミーなどの規制改革等に関する政策提言活動を担当。その他、経団連をはじめとした業界団体活動に参画するとともに、自らもIT業界を広く巻き込み日本IT団体連盟やIT社会推進政治連盟の立ち上げに関与し、業界全体の政策提言活動をリード。

    2018年、政策提言活動を担う株式会社ポリフレクトを創設し、代表取締役に就任。デジタル分野を中心とした規制改革、ルールメイキングを多数行っている。

    Forbes JAPAN「日本のルールメーカー30人」選出、一般社団法人パブリックアフェアーズジャパン アドバイザー、プロトタイプ政策研究所有識者メンバー、デジタル社会推進政治連盟 理事。

    日本企業の政策提言の在り方に疑問

    ーはじめに自己紹介をお願いします。
     株式会社ポリフレクトというロビイングのコンサルティングの会社で代表取締役をしています。
    元々は経産省に7年弱籍を置いていました。経産省の中でIT政策の部署になり、デジタル界隈の有識者やいろんな企業の人たちとの接点ができていく中で、日本の企業の政策提言のあり方がこれでいいのかという疑問を持ったんです。

     簡単に言うと、GAFAなどには社内ロビイストのような人たちがいて、すごく良い政策提言を持ってくる。一方で日本の企業は政策提言を基本は持ってこない場合が多く、「国が決めてくれ」「僕らは従うだけなんで、とにかく分かりやすく決めてくれ」ぐらいなんです。そういう状況を目の当たりにして日本企業も含めてもっと活発に政策提言を行っていかないと競争のベースになる制度に偏りが生まれるんじゃないかっていう問題意識をがふと浮かんだんです。

     もちろん特定の企業が提言をしたからといって、その企業に都合のいいルールができるというほど簡単な話ではありませんが、制度を作る人があらゆることを全て知っているわけではないので、知らないことに対しては配慮が行き届きにくいということは起こりえると思います。長期的に見たときに、日本企業が自社の取組や課題などをきちんと伝えきれていないことによって良い制度にならないことも起きるのではないか、日本の産業ってそれでいいんだっけ、と疑問を持ちました。そこで、自分が日本の企業から政策提言をしようと思い、まずはヤフー株式会社に転職をしました。

    ー日本企業の政策提言の在り方に疑問を持って、転職されたのですね。
     はい。ただ、ヤフーの中にいるとやっぱりヤフーの事業に関する政策提言しかできないというモヤモヤがあったので、だったらもっと純粋に日本企業全体のサポートを中立的な立場でやるといいなということで、今のポリフレクトというロビイングのコンサル会社を立ち上げて、いろんな企業を支援していこうと活動をしています。

    ーキャリアを通して、ロビイングに関心があるのですね。興味を持った出発点は何だったのでしょうか。
     ロビイングに関心があるというよりは、政策立案にずっと関心があります。政策を作るのに関与しようとすると、政治家になるか、役人になるか、民間からだとロビイングという選択肢になるんです。

     国家公務員というものに興味を持ったきっかけは、学生時代に見たドラマの影響が大きいんですが、就職活動も相まって国家公務員についていろいろと調べだしました。その中で、何か事業をするときに法律とか、そういうルールの中でできることと、できないことが決まってしまって、民間企業の活動ってそういうルールの中でどう部分最適を実現するかっていうものだと当時は思ったんですよね。実際には、ルールのない領域でチャレンジを行う企業もいっぱいいて、そういった人たちがルールを作り上げていくというこもあるのですが。

     ただ、学生時代にはそこまで見えていなくて、部分最適の中で何がベストかを探すよりも、社会にとって全体最適が何かを設計する方がより本質的なような気がしました。そこで全体最適をわりと純粋に考えられる仕事って何だろうって思ったときに、政策を作る国家公務員にすごく興味を持ちました。

    プロトタイプ政策研究所との出会い

    ープロトタイプ政策研究所に入られたきっかけは何だったのでしょうか。
     落合先生に呼ばれたことがきっかけで、気づいたら入っていました(笑)
    最初はプロトタイプ政策研究所の広報として呼ばれました。ロビイング活動って役所とか政治家に提言するのはもちろんあるんですけど、プラスで役所や政治家がやらないとって思うモチベーションが世論で高まってるかどうかということも必要でして、そういう意味ではロビイングにはPR的・広報的な活動も実は大事で、ポリフレクトとしても実際そういう活動をするケースもあります。その点を注目されて、最初は広報のサポートとして役割を担って、現在に至ります。

    ープロトタイプ政策研究所の魅力を教えてください。
     プロトタイプ政策研究所は割とピュアにあるべき議論ができる気がしていています。実際に、これまでの提言や、今まとめようとしている提言の議論の中でもそれを感じますね。

     プロトタイプ政策研究所って「こうしたらいい」「ああしたらいい」みたいなことをピュアに議論する人が集まっていて、ピュアな議論を大真面目にできるので、そういうところが良いと思ってます。こういう場があることは本当に大事な役割というか、僕も元々、国にいた身として言えるのは、国が政策を考えるにあたって、いろんな企業や団体がそれぞれの利害関係を考えて「こうすべき」「ああすべき」という提言をしてくるんです。そういった中で、その利害を超えてピュアに「こうあるべきです」という提言を持ってくるのは、本来ならば役所としては一番ありがたい話で、それをきちんとできる環境というのはとても良いと思います。

     今後、プロトタイプ政策研究所が、まさに国の政策作りのパートナーのように位置づけられていくといいなと思いますし、そうなるときっといい社会になるんだろうなと思っています。

    ープロトタイプ政策研究所で思い出に残っている活動はありますか。
     ある時、メンバーが集まったときに「プロトタイプ政策研究所のメンバーすごいな」って思ったことがあって、記憶に強く残っています。

     運営方針や政策提言のネタについて、その場で議論したときに、メンバーのみんな、やっぱりそれぞれ得意分野があって、うまく分散しているので、「これはこうした方がいい」「いや、ああした方がいい」とか、「こういう観点もあった方がいいんじゃないか」のような指摘がそれぞれの分野の超一流なコメントが飛び出ていました。専門じゃないような観点であっても、逆に専門じゃないからこその新鮮な視点で意見が出て「確かにそれはそうだね」というように議論が進んで、あっという間に大きい形が作られていくんです。この提言が形作られていく瞬間を見ているとやっぱりすごいメンバーが揃ってるし、すごく可能性を感じるなとそのとき強烈に思いました。

    民間から政策提言を

    ー今後の展望について教えてください。
     僕自身の展望で言うと、まずはこの政策提言を民間からしていくっていう活動自体があるんだっていうことが、もう少し世の中に認知されるようにしていきたいですね。未だに政策提言なんて民間企業はするもんじゃないと思ってる企業はとても多いですし。

     最近だと大企業や若手のスタートアップなどはこういった取り組みに対して意識を持っているところ出てきていますが、中堅どころの企業などはそういう発想が無いところがまだまだ多い。民間からも政策提言を発していくことがもっと普通な社会になってほしいと願っています。

    (インタビュー:福知佳那子/文・写真:降籏捺妃)

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